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西原良史 – 一力寿司

島一!?サービス精神旺盛な寿司職人、ヨシさん
糸島で半世紀近く続く寿司割烹店「一力寿司」二代目の西原良史さんは多彩な顔をもっています。寿司職人であり、時にはクマの着ぐるみを来て保育園や老人ホームを慰問したり、各地のイベント会場に出没して場を盛り上げる「クマ集団」のリーダーだったり…。そして!唯一無二のサプライズサービスを行う「世界一のおもいで屋」の主宰者でもあります。さらには、糸島特産の真鯛を使った糸島鯛らーめん「穂と花.(ほとはな)」の店主で、2022年4月から6月末まで期間限定でJR博多駅ホームに出店しています。

寿司職人なのか、ラーメン職人なのか? 一体、ヨシさんは何者ですか?

何者なんですかね(笑)。100%全力で相手にサービスをしてしまうんです。ワクワクしてもらいたいし、自分もワクワクしていたいから、いろんなことをやっちゃうんです。

そのサービス精神はどこから来るんですか?

幼いころの経験からでしょうかね。小学校では授業は全く受けず、友だちに見せるパラパラ漫画ばかり作っていました。常に誰かに振り向いてほしかったので、サービス精神旺盛に育ちました。今も、少年時代と全く同じ。どうしたら楽しんでもらえるのかを、24時間365日考えています!

おもいで屋もサービス精神の延長線上?

修行から戻った20年程前に、「一力寿司を忙しくするぞ!」と猛烈に働いていたら、忙しくなりすぎて…。このままじゃ身体がぼろぼろになると思って、店の形態を出前と仕出し専門にし、来客は予約のみにしました。その予約客を安定的に呼び込む策として考えたのが、「おもいで屋」です。

「おもいで屋」はどんなことをやるんですか?

お祝いごとでの無料サプライズサービスです。追加費用は1円もかからないけど、一生忘れられない最高のプレゼントを提供します。基本はサプライズなんですが、一つだけ種明かしをすると「当日エンドロール」が自慢です。結婚式などで当日の様子を映像にまとめて式の最後に会場に流すやつで、宴会場すらまだこのサービスをしていない頃から行っていました。

おもいで屋として活動する日は、僕は寿司を握りますし、写真も撮りますし、クマの気ぐるみを着てお客さんを盛り上げます。それから、パソコンで画像の編集をして「当日エンドロール」もつくります。いつも「エンディングに間に合うのか?」と、胃がきりきり痛みますが、それでも、映像を見てお客さんが泣いたり、笑ったりして喜んでくれるから頑張りたくなるんです。

おもいで屋って、いろんな問題を抱えた家族も来られるんです。10年間、口を聞いたことのない父と息子が来店した時には、そんなふたりの肩を組ませて写真を撮ったり。帰り際には「10年ぶりに家族に戻れました」と、感謝されて、私も感激しました。

余命宣告を受けた方の来店も忘れられないです。別れを惜しむように、家族みんなで最後の思い出づくりに来られたんです。シリアスな状況のはずなのに、みんなが楽しい会にしようと笑っているんです。心で泣いているのに、顔は笑っている。私まで胸が熱くなって、サングラスで涙を隠しながらカメラを構えていました。そんな感動の場面に出会いたいから3,000回も超える「おもいで屋」を続けることができています。

クマの着ぐるみで「糸島」を盛り上げる活動も、糸島ブーム前から続けていますよね?

「クマ店長」と名付けた大きなクマのぬいぐるみを、出前に連れて行ったことがきっかけです。大きすぎて、自分がぬいぐるみの中に入った方が移動しやすいなと思って、着ぐるみを購入しました。買ったからには有効活用しようと思って、糸島を元気にするイベントの会場などをクマの姿で回っていたんです。そしたら「クマ仲間」ができて!今では着ぐるみが9体に増えています。こんな、変かもしれない活動を面白がってやってくれる人が多いのが糸島の良さなんです。ボランティアで保育園や小学校、老人ホームを慰問しています。商売抜きで、ただ生まれ育った地域を盛り上げたいという一心です。

鯛ラーメンを作ったのも地域おこしの一つですか?

糸島は日本一の漁獲量を誇る鯛の町なので、その鯛を使ったラーメンを作ったら、名物になるんじゃないかと思ったんです。2016年「糸島市民まつり グルメグランプリ」で鯛ラーメンを出したら準優勝しました。ただ、当時のスープはあっさりしすぎて自分で満足はしていませんでした。より濃厚で豚骨ラーメン好きな福岡の人にも喜んでもらえるスープを追求し、2019年のグルメグランプリで再び準優勝をもらいました。とても好評だったので、鯛ラーメンの店をオープンしました。店名の「穂と花」はふたりの娘の名前から取りました。挑戦する父親の背中を見せたかったからです。2022年4月からは、九州の玄関口・JR博多駅のホームに出店し、全国から博多を訪れる人に「糸島の味」を提供していますが、6月末で鯛ラーメン屋のチャレンジ”第一章”は終了です。

えっ!もうラーメン屋は辞めてしまうんですか?

いえいえ、やめませんよ。次は、一力寿司に世界中の人たちを招き、日本の文化、そして、大好きな糸島を知ってもらおうと考えています。そのために、夏から寿司店にゲストハウス機能を追加するために、少し休業して工事に入る予定です。
寿司屋として人を喜ばせるサービスを考えたら、おもいで屋と鯛ラーメン屋ができました。そこでこれからは、3つの「屋」を合わせて、世界に一つだけの体験型ゲストハウスにするつもりです。糸島のランドマークを目指します!

Interview & Photos: Seiji Watanabe

「一力寿司」について

Category
Hatae - 波多江エリア
Published: Jun 22, 2022 / Last Updated: Jun 22, 2022

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