冬の糸島は、魚介が美味しい!
糸島では一年を通して多くの魚介類が水揚げされますが、水温が下がりはじめ、寒さから身を守ろうとするタイミングは、ブリやマダイ、サワラなど、脂がのって風味を増す魚介が出てきます。また、真牡蠣も旬を迎えます。漁港に期間限定でオープンする漁師直営のカキ小屋は、今や糸島の冬の風物詩として知られ、焼き牡蠣を目当てに多くの人が訪れます。
そんな時期に開催する「地魚BANKうお旅」は、糸島の旬が集まる産直マーケット「志摩の四季」からスタートです。
糸島漁業協同組合が直営する「志摩の四季」は、地魚の豊富な品揃えと直売ならではの価格で、近くに暮らす人々はもちろん、福岡市内に店を構える料理人たちにも人気の直売所で、糸島の地魚にこだわる海鮮丼の専門店「志摩の海鮮丼屋」も営業しています。
店主の馬淵崇さんは、糸島でこれからも美味しい地魚を食べ続けられる社会を実現するために、糸島の漁業従事者や料理研究家など地域の事業者と連携して活動する『地魚BANK』を主催しています。
この「うお旅」も、糸島の資源や継承されてきた文化をただ消費するだけでなく、未来へ繋いでいくために、漁村文化を実際に体験して楽しんでもらうことからはじめようと、地魚BANKの活動の一環としてはじまりました。
冬の地魚の旨味をダイレクトに堪能できる海鮮丼の内容は、仕入れ次第です。
この日は、マダイにサワラ、カンパチ、タチウオ。そして糸島の姫島近海で採れる海藻「ふのり」が彩を添えます(写真は小サイズ)。生魚だけでなく、天ぷらでも丼を楽しむこともできます。
志摩の海鮮丼屋
・福岡県糸島市志摩津和崎33-1
・092-327-4033(予約不可)
・営業:11:00~14:00(なくなり次第終了)
・定休:水曜
・https://www.instagram.com/shimanokaisendon/
糸島っ子にも人気の海鮮丼でお腹を満たしたら、糸島富士や小富士として親しまれる糸島のシンボル・可也山(標高365m)の眼下に広がる加布里湾へ向かいます。
古くは大陸との貿易港として栄え、明治時代頃までは商船が行き来していたといいます。海面が今よりも高く、海岸線は今よりも陸地側に入り組んでいました。
細い路地で繋がる加布里の漁村には、当時の繁栄を伺い知ることができる目印が随所に残っています。
糸島にある4つの醤油醸造所のひとつ、1889年創業のカノオ醤油。九州の醤油の特徴である甘味を、砂糖や甘味料を加えずにつくる「甘口醤油」を全国で初めて商品化した醤油蔵。福岡県産の大豆と小麦に、塩を加えて熟成させた「もろみ」に、福岡県産米の米麹を加えて追熟させた糀醤油や、だしつゆ、味噌など30品目程を製造しています。
糸島市内の小中学校給食や、釜揚げ牧のうどん全店舗で使われているのはカノオ醤油。まさに糸島っ子の故郷の味。
カノオ醤油味噌醸造元
福岡県糸島市加布里5-23-18
http://kanoosoy.shop28.makeshop.jp/
加布里漁港から続く参道の奥に鎮座するのは加布里天満宮。
幅の広い参道は、かつて行われていた山笠の名残。天満宮から可也山を眺めると街並みが一望できます。
糸島の冬の風物詩・カキ小屋に加え、加布里湾の冬の風物詩はハマグリ漁!
加布里では天然ハマグリ、しかも、日本の固有種ヤマトハマグリが採れます。日本で流通するハマグリの90%超は中国や韓国から輸入されるシナハマグリですから、とても貴重な存在です。
ここ加布里のハマグリも、乱獲などによって一時は姿を消したものの、地元の漁業関係者らの清掃や資源保護活動などによって再び収穫できるようになった、努力の賜物です。加布里の天然ハマグリ漁は、11月から3月までの期間限定。
もともとの組み合わせの2枚の貝殻のみがしっかり重なり合うため、良縁の象徴とされるハマグリ。めでたい食事の席や、女の子の良縁を願うひな祭りなどで用いられ、旨味だけでなく縁起のよいものとしても重宝されています。
漁村散策の合間に、コーヒーブレイクしながらハマグリ漁へ出る漁師の様子を見たり…。漁村の日常は、訪問者にとっては特別なひとときです。
夜は、地魚BANKうお旅の人気コンテンツ、寿司握り体験!
筑前前原駅前にある「駅前のバル」で、店主の馬淵さんからレクチャーを受けながら、糸島の地魚を自分で握ります。糸島産の米を手にとり、マダイやサワラなど旬の地魚で、握り寿司をつくります。
姫島で獲れたサバは、型に入れて作る「押し寿司」でいただきます。握り寿司もそうですが、寿司には、力加減にコツがあるようです。
加布里で獲れたハマグリは、白ワイン蒸してシンプルにいただきます。しっかりと旨味が詰まったハマグリの身は、新鮮なので火を通しすぎず、ぷりぷりの状態でいただきます。
宿に帰って楽しむ「ちょい呑みセット」。本日は、糸島のいちご農園で採れた「かおりの」。糖度16~19度の強い甘さと上品な香りが特徴のイチゴを、糸島産の旨口日本酒と合わせます。夜中に小腹が空いた時のために、「駅前の魚屋さん」の惣菜セットもつけて。
宿泊は、加布里漁港前にできた一棟貸しのキッチン付き宿泊施設、Rakuten Stay Houseに。ドアを開ければ目の前は漁港。
朝イチで、沖に浮かぶ牡蠣棚まで住吉丸の漁船で行ってきます!
日本屈指の漁場・玄界灘に面する糸島半島は、山にも距離が近く、森林の養分を含んだ川水が海に流れ込むため、牡蠣の養殖にも適しています。
かきの幼生が付着したホタテの貝を、海に浮かべた棚に吊るして半年から1年。食べ頃に育ったら、水揚げをして貝の周りを磨き、紫外線殺菌+オゾン殺菌を行って、カキ小屋や市場に出します。
目の前の海で育てた牡蠣を、炭火で焼いて味わうカキ小屋「住吉丸」。
うお旅スペシャルは、海上見学で冷えた体をあたためてくれる「牡蠣雑炊」です。住吉丸が大切に育てた牡蠣を、一粒ずつ丁寧に殻を剥き、牡蠣のエキスをたっぷり吸ったご飯をスープと共にいただきます。
美味しい!定番にしてほしいくらい!
もちろん、焼き牡蠣もたっぷり堪能できます。牡蠣シュウマイなど、牡蠣が丸ごと入った住吉丸オリジナル商品、そして、加布里湾で採れた天然ハマグリも贅沢にいただきます!
糸島にある8つの漁港の内、カキ小屋があるのは、加布里、岐志、船越、福吉の4カ所の漁港。そして、天然ハマグリが採れるのは、ここ加布里で11月から3月までの期間限定です。
いつ訪れても魅力的な糸島だけれど、その地域ならではの期間限定のイベントや取り組みに参加して、友人に会いに行くように再訪するのも楽しいはずだ。きっかけづくりに、地魚BANKのような仕組みを利用するのも一案だ。
地魚BANK
「現地(糸島)に足を運んで体験することで、価値を理解してもらう」ことを大切にしているプロジェクト。活動内容は、facebookグループ「地魚BANKオンライングループ」にて公開中。
▷Fukuoka Nowレポート「地魚BANK – おいしい魚を食べ続けるための糸島での取り組み」